共同代表:足立元(美術史家) |
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専門は日本近現代の美術史・視覚社会史。調査対象の遺族や存命の美術家などに会うことから文献資料に書かれない多くのことを学んだ。東京芸術大学大学大学院博士課程修了。主な著書に『前衛の遺伝子 アナキズムから戦後美術へ』(ブリュッケ、2012年)。二松学舎大学准教授。 |
共同代表:中嶋泉(大阪大学准教授) |
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主に現代美術、フェミニズム、日本の美術の領域で研究をおこなう。国際基督教大学卒。一橋大学大学院言語社会研究課修士課程、リーズ大学大学院修士課程を経て、2013年度一橋大学大学院言語社会研究科にて博士号取得。日本の女性作家の調査を進めており、聴き取りも行なっている。近著に『アンチ・アクション―日本戦後絵画と女性画家』(ブリュッケ、2019年)、Past Disquiet: Artists International Solidarity and Museums-in-Exile, (University of Chicago Press, 2018)など。 |
メンバー
粟田大輔(美術批評) |
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1977年生まれ。第13回『BT/美術手帖』芸術評論募集佳作(「榎倉康二における出来事性と層の構成」)。そのほか「予兆としての「絵画」−《干渉率B(空間に)》」「榎倉康二と書物」「SPACE TOTSUKA ’70における「地・型」」などの論考がある。『中原佑介美術批評選集』全12巻(現代企画室+BankART出版、2011年−)編集委員。 |
池上裕子(大阪大学教授) |
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美術史家。国際基督教大学在学中にサセックス大学に留学、戦後アメリカ美術の面白さに開眼する。大阪大学で修士号を取得後、2007年イェール大学で博士号を取得。主な専門領域は戦後のアメリカ美術と日本美術、及び現代美術のグローバル化。留学中にアメリカ美術アーカイヴのオーラル・ヒストリーを利用し、博士論文の調査で自らも多くのインタヴューを行った経験から、日本の美術関係者への聞き取りプロジェクトを加治屋健司と構想し、本アーカイヴの設立に至った。2010年、ロバート・ラウシェンバーグの国際活動をアメリカ美術の覇権という観点から考察したThe Great Migrator: Robert Rauschenberg and the Global Rise of American Art をThe MIT Pressから刊行。2012年にアメリカで開催された篠原有司男展を共同企画し、2015年にはWalker Art Centerで開催された「International Pop」展において、日本セクションのキュレーションを務めた。 |
伊村靖子(国立新美術館主任研究員) |
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情報科学芸術大学大学院(IAMAS)准教授を経て、2022年より現職。2013年京都市立芸術大学博士号(芸術学)取得。研究テーマは「1960年代の美術批評──東野芳明の言説を中心に」(博士学位論文)。近年は、美術とデザインの関係史に関心を持つ。共編に『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013年)。論文に「「色彩と空間」展から大阪万博まで――60年代美術と建築の接地面」(『現代思想』48巻3号、2020年 3月)、「1960年代日本現代美術における「インターメディア」の系譜」(『美術フォーラム21』45号、2022年6月)など。 |
加治屋健司(東京大学教授) |
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1971年生まれ。ニューヨーク大学美術研究所博士課程修了。PhD(美術史)。スミソニアンアメリカ美術館研究員、広島市立大学准教授、京都市立芸術大学准教授を経て現職。アメリカ現代美術を研究するなかでオーラル・ヒストリーの重要性を認識し、2006年12月に大学教員や学芸員とともに日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴを設立、2024年3月まで代表を務める。アメリカと日本の現代美術史を中心に多数の論文を発表している。著書に『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』(東京大学出版会、2023年)、共編著にFrom the Postwar to the Postmodern, Art in Japan 1945–1989: Primary Documents (Museum of Modern Art New York, 2012)、『中原佑介美術批評選集』全12巻(現代企画室+BankART出版、2011年–)がある。 |
鏑木あづさ(司書、アーキヴィスト) |
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1974年東京生まれ。美術資料や記録、情報について関心を持つ。東京造形大学造形学部デザイン学科卒業、慶應義塾大学大学院文学研究科図書館・情報学専攻修了。東京都現代美術館、東京藝術大学大学院映像研究科などを経て、埼玉県立近代美術館に勤務。近年の仕事に『中原佑介美術批評選集』全12巻(現代企画室+BankART出版、2011年–)、「美術評論家連盟資料について」『美術評論家連盟会報』20号(2019年)、「Decode/出来事と記録―ポスト工業化社会の美術」(埼玉県立近代美術館、2019年)。 |
菊川亜騎(神奈川県立近代美術館学芸員) |
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日本の近現代彫刻とその西洋美術の受容について研究を行う。美術史の可能性をひらく口述資料の重要性を感じ、作家遺族や関係者に聞き取りを行っている。京都市立芸術大学修了、大阪大学文学研究科博士後期課程を経て現職。主な論文に「堀内正和の構成彫刻に関する考察―1950年代における幾何学抽象の国際的伝播との関係から」(『待兼山論叢』大阪大学、2017年)、「戦時下の堀内正和に関する研究―書簡に基づく辻晉堂との交流から」(『研究紀要』京都市立芸術大学、2018年)、「関西日仏学館と京都の美術家―第二次世界大戦期の交流について」(『研究紀要』京都市立芸術大学、2019年)など。 |
辻泰岳(筑波大学助教) |
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美術史および建築史。御厨貴の講義「建築と政治」(東京大学大学院工学系研究科)に影響を受け、自身でも聞き取りを進める。主な論文に「「空間から環境へ」展(1966年)について」『日本建築学会計画系論文集』(2014年10月)や「方法としてのディスプレー:国立近代美術館の会場設計について」『文化資源学』(2018年6月)など。共著に『Invisible Architecture: Italian and Japanese Movements in the 1960s』(2017年)あるいは『世界建築史15講』(2019年)など。 |
野中祐美子(金沢21世紀美術館キュレーター/レジストラー) |
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名古屋大学大学院博士後期課程満期退学。2014年より金沢21世紀美術館に勤務。戦後ドイツ美術を主な専門領域とし、戦後から現代にかけた表現やその受容に関心をもつ。 主な企画に「航路-島々への接続」(2022)、「村上慧 移住を生活する」(2020)、「現在地:未来の地図を描くために」(2019)、「アペルト10 横山奈美 LOVEと私のメモリーズ」(2019)、「アペルト09 西村有 paragraph」(2018)、「泉太郎 突然の子供」(2017)など。 |
細谷修平(美術・メディア研究者) |
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1983年生まれ。美術・メディア研究者、映像作家。大学在学中にイメージ論、編集術を学ぶ。アーティストの活動に関わる聞き取りや調査、記録を通して、アート・ドキュメンテーションを行なっている。主には1960年代の藝術と政治、メディアを研究テーマとして、映像やテキストによる記録を行い、シンポジウムや書籍のプログラムを通した活動を展開。東日本大震災を経て、記録と藝術についての考察と実践を継続している。主な共著に『文藝別冊 澁澤龍彦ふたたび』(河出書房新社、2017年)、『日本のテロ 爆弾の時代60s-70s』(河出書房新社、2017年)、『半島論』(響文社、2018年)などがある。高崎経済大学非常勤講師。 |
牧口千夏(京都国立近代美術館主任研究員) |
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大阪大学大学院博士前期課程修了、2006年より京都国立近代美術館に勤務。専門は近現代美術、写真・映像。主な展覧会企画に「映画をめぐる美術―マルセル・ブロータースから始める」(2013/2014、第9回西洋美術振興財団学術賞受賞)、「キュレトリアル・スタディズ10:写真の〈原点〉再考―ヘンリー・F・トルボット『自然の鉛筆』から」(2016)、「オーダーメイド:それぞれの展覧会」(2016)、「キュレトリアル・スタディズ12:泉/Fountain 1917-2017」(2017–18)、「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」(2019)など。 |
宮田有香 |
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幼少期を北海道で過ごし、地域の共同体や口承文芸に親しむ。高校在校中に職人や史跡管理者を訪ね自分史を聞く「地域研究」の授業から「語り」の面白さと「聞くこと」の難しさを知る。父が画廊主だった内科画廊(1963–1967年)の資料の保存修復と平行して関係者へのインタヴューを行い、2000年に「内科画廊—’60年代の前衛」展(京都造形芸術大学)を企画。この時の貴重なインタヴューを外部に共有できる形に記録化できなかった反省から、2009年より当アーカイヴに参加。2000年より美術館での所蔵作品ならびに資料調査、情報公開業務に従事する。関わった主な展覧会は「20世紀版画の巨匠 浜口陽三展」(2002)、「安齊重男の"私・写・録(パーソナル フォト アーカイブス)" 1970–2006」(2007)、「絵画の庭—ゼロ年代日本の地平から」(2010)、「横尾忠則全ポスター」(2010)、「あなたの肖像—工藤哲巳回顧展」(2013)、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」など。 |
山下晃平(美術史家) |
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2016年3月、京都市立芸術大学博士(後期)課程修了。専門は、日本の近現代美術史。日本の戦後美術史を上書きしていくために、作家・作品論だけではなく、美術展史・言説史的アプローチから、日本の美術界総体の志向性について研究している。2017年に『日本国際美術展と戦後美術史 その変遷と「美術」制度を読み解く』を創元社より刊行。主な論文に、 「JAPAN牛窓国際芸術祭」−80年代、日本の野外美術展の変質と「美術」制度−」(『美学』、美学会、Vol.68、No.1、2017年)、「 戦後日本における大型美術展の変容と制度としての「美術(芸術)」−60年代、「国際的同時性」の文脈をめぐる一考察−」(『研究紀要』、京都市立芸術大学美術学部、第60号、2016年)。京都市立芸術大学ほか非常勤講師。 |
在外メンバー
手塚美和子(Dibバンコク現代美術館館長、ポンジャ現懇・共同主宰) |
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ニューヨーク大学で学士号を取得後、ソーホーのギャラリーの仕事を通してアジアの現代美術の面白さに触れる。まだアジア現代美術が研究対象と認識されていなかった1990年代半ばにコロンビア大学大学院に入学、日本の戦後前衛美術を専門分野とすることを決心。特に1950年代における実験工房の分野横断的なコラボレーション活動に興味をもち、元グループのメンバーや当時を知るアーティスト、批評家等とのインタヴューから得た情報をもとに、2005年、実験工房の研究論文で博士号取得。 その後、日本からアジアへ視野をひろげ、2005年から2012年までニューヨークのアジア・ソサエティー美術館にてアジア現代美術専門の学芸員の仕事を続ける。2007年、アジア・ソサエティー美術館が現代美術作品を収集開始するにつき、収蔵作家とのビデオ・インタヴューを随時行った。 2012年から2015年、日本人として初めてニューヨークのジャパン・ソサエティー・ギャラリー・ディレクターを勤める。この間に6つの展覧会、夏期アーティスト・レジデンシー・プログラム、ベネフィット・オークション等、数々のプログラムを通して伝統と現代を融合させる新機軸を提示した。 その後キュレーターとして独立するにつき、美術史家富井玲子博士と共同設立したオンライン・グループPoNJA-GenKon (ポンジャ現懇;2003年設立) のプログラムをCo-Directorとして推進する活動に力を入れる。また2015年から、荒川修作とマドリン・ギンズがニューヨークに設立したReversible Destiny Foundationの顧問キュレーター、2020年から2023年まで同Foundationアソシエート・ディレクターを勤める。 2024年2月拠点をアジアに移し、タイの首都バンコクの中心に位置するエリアに2025年オープンする現代美術館Dib Bangkok Museum of Contemporary Artの初代館長に就任し現在に至る。 近年の企画に、ハワイ・トリエンナーレ2022(アソシエート・キュレーター;2月18日―5月8日)、展覧会「贈る心、共有する空間:浅井裕介、キムスージャ、ピナリー・サンピタック」(ゲスト・キュレーター;マサチューセッツ州、ハンコック・シェーカー・ヴィレッジ;2022年5月29日―11月20日)など。 |
富井玲子(美術史家、インディペンダント・スカラー、ポンジャ現懇・主宰) |
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戦後日本美術をグローバルかつローカルに検証する美術史家。インディペンデントで活動、ニューヨーク在住。大阪大学在学中、待兼山芸術懇話会を通じてオーラル・ヒストリーと出会い、以後、歴史的検証の方法論の一環として現存作家の研究に活用する。テキサス大学オースティン校での博士論文(1988年)や、ニューヨークの国際現代美術センターによる米国初の草間彌生回顧展の調査(1989年)をはじめとして、オーラル・ヒストリーを基礎とした業績には、彦坂尚嘉論(『若山映子先生ご退職記念論文集』2006年)、赤瀬川原平論(『超芸術』英訳版収録、2010年)、徐冰論(Albion Editions、2011年)、『荒野のラジカリズム:国際的同時性と日本の1960年代美術』(MIT Press、2016年)がある。2019年にジャパン・ソサエティ(ニューヨーク)で企画した『荒野のラジカリズム:グローバル60年代の日本の作家たち』展ではオーラル・ヒストリーの成果を一般観客への解説に取り込んだ。2003年にポンジャ現懇(http://www.ponja-genkon.net)を設立主宰し、イェール大学やゲッティ研究所、ニューヨーク大学、シカゴ大学などと共催した学術会議(2005、07、14、17、19年)でも積極的にオーラル・ヒストリーを取り入れている。令和2年度文化庁長官表彰(文化発信・国際交流-日本美術研究)を受賞。 |
中森康文(アジア・ソサエティー美術館館長) |
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米国法弁護士として東京で働いた1999年から2002年の間に、日本戦後美術及び建築史に魅了され、日本各地の美術館や建築を巡り、現代美術作家と親交を持つ。2008年より2016年4月までヒューストン美術館にて写真部門キュレーターを務める間、ライス大学及びハンター・カレッジにて近代・現代東アジア美術、1945年以降の日本美術・建築史を教えた。テート・モダン インターナショナル・アート部門シニア・キュレーターを経て、2023年8月より現職。博士論文(米コーネル大)では1953年から70年までの建築家と美術・写真家による協同作業に焦点を絞り、特に丹下健三、磯崎新やメタボリズムの建築家を中心とするアンビルト作品を日本戦後における近代都市構築への模索と捉え、「伝統論争」に鑑みて分析した。博士論文の一部より米国で出版された『Katsura: Picturing Modernism in Japanese Architecture, Photographs by Ishimoto Yasuhiro』では1960年出版の丹下健三と石元泰博の共著『桂 日本建築の創造と伝統』を丹下の戦後建築におけるマニフェストと捉え、同書はCollege Art Associationより2011年Alfred H. Barr, Jr. Awardを受賞。日本美術に関する最近の著作並び展覧会には『For a New World to Come: Experiments in Japanese Art and Photography, 1968–1979』 (2015)及び『Naoya Hatakeyama: Excavating the Future City』(2018)、最近寄稿した展覧会カタログに『イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの』(2019)がある。 |
由本みどり(ニュージャージー・シティー大学教授) |
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ニュージャージー・シティー大学教授/ギャラリー・ディレクター。大阪大学で学士号を修得後、ロータリー財団奨学金で渡米。ラトガース大学大学院に提出した博士論文を2005年にInto Performance: Japanese Women Artists in New Yorkとして出版。同年の栃木県立美術館における「前衛の女性」展、2008年豊田市美術館での「不協和音」展、2012年東京都現代美術館での「靉嘔 ふたたび虹の彼方に」展等、日本の美術展図録への寄稿も多い。英語の出版物には、 1962-1964 (『ヨーコ・オノ ワン・ウーマン・ショー』 Museum of Modern Art New York, 2015)、Fluxus Nexus: Fluxus in New York and Japan (post.at.moma.org, 2013)、Limitless World: Gutai’s Reinvention in Environment Art and Intermedia (『具体すてきな遊び場』 Guggenheim Museum, 2013)、From Space to Environment: The Origins of Kankyō and the Emergence of Intermedia Art in Japan(「空間から環境へ:日本における〈環境〉の起源とインターメディア・アートの起こり」CAA Art Journal 2008年秋号)、Women and Performanceの「女性とフルクサス」特集号(ゲスト企画・編集、2009年11月号)、『城西大学紀要』 Review of Japanese Culture and Societyの「1970年 万博と日本芸術」特集号(ゲスト企画・編集、2012年)などがある。2021年、共同キュレーターを務めた『Viva Video! 久保田成子』展が日本の美術館三館を巡回し、倫雅芸術奨励賞を受賞した。同年、共編著『女性、老い、美術、異文化間アンソロジー』を出版。 |
協力
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